主要6アプリの機能と会員料金、4つの外部通話サービスの事業者向け費用を比較します。そのうえで、開発の見積もり、安全対応、小さく試す手順を考えます。提供条件から分かる事実と、編集部が提案する導入判断を分けて読み進めてください。

通話を足す目的を先に決める

編集部の提案は、利用者の課題と運営の対応力に合わせて、提供範囲を選ぶことです。「競合にあるから」だけでは、必要な機能も予算も決まりません。

音声は声や会話のテンポ、映像は表情や画面越しの様子を知る手段になります。アプリ内で話せれば、電話番号の交換を急がずに済む用途もあります。ただし、これらは機能の性質から考えられる使い道であり、成婚率や売上の改善を実証したものではありません。

通話を足す目的を先に決める
自社で確かめたい課題検討する範囲導入前に確かめること
DMの使いづらさや迷惑行為への対応が先に必要DMと既存の運用を改善する通話を増やしても同じ問題が残らないか
会う前に短く話したいという要望がある音声通話を試す話す時間を合わせられるか、希望者が使うか
表情を含めて会話したいという要望があるビデオ通話を試すカメラ利用への抵抗、背景の写り込み、通信環境
通報や障害への対応をまだ担えない提供時期・対象を絞る誰が問い合わせを受け、いつ停止できるか

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短い音声から試す方法もありますが、映像を求める利用者に同じ順番が合うとは限りません。通話を使った人の割合、接続できた割合、問い合わせ・通報、費用を合わせて見て判断します。

主要アプリは通話をどう提供しているか

別々の部屋から会話する男女

比較対象はPairs、with、タップル、Omiai、Tinder、Bumbleです。「音声」はリアルタイムの会話を指し、録音したボイスメッセージやライブ配信は含めません。公式案内で確認できる範囲を並べます。*1

主要アプリは通話をどう提供しているか
アプリDM音声ビデオ
Pairsありありあり
withありありあり
タップルありありあり
Omiaiありありあり
Tinderあり現行提供を確認できず提供終了
Bumbleあり案内あり案内あり
主要アプリは通話をどう提供しているか
アプリ開始条件と時間の扱い
Pairs本人確認、マッチング後にメッセージ3往復以上。男性は有料会員。相手ごとの初回15分、以降60分。1日合計3時間。アプリ版
with双方の本人確認、マッチング後に5往復以上。男性は有料会員。1回30分、1日合計2時間。アプリ版
タップル本人確認ステップ1、マッチング後。男性は有料プラン。相手ごとの初回15分、以降30分。1日合計の上限は確認した案内に記載なし
Omiai双方の本人確認と各3通以上の送信、双方がメッセージ画面を開く。男性は有料会員等。同じ相手と1日15分。相手の人数に上限なし。アプリ版
Tinder日本語公式ヘルプがビデオ通話の終了を案内。終了の理由や、音声機能の不存在までを示す資料ではない
Bumble日本語公式ページがアプリ内通話を紹介。現行英語ヘルプではマッチング後に利用。日本の全アカウントの条件・時間上限は実機未検証

*1 2026/10/10に閲覧した公式ヘルプ・機能案内に基づきます。6サービスの限定比較であり、通話品質の実測ではありません。「確認できず」「記載なし」は、機能なし・無料・無制限を意味しません。

国内4社の例では、通話を開放する条件と時間制限も機能の一部です。一定のDMを交わしてから利用できるようにする、相手ごとに時間を区切る、といった選択があります。自社でも検討する材料になりますが、同じ条件を採れば安全になると保証するものではありません。

Tinderの終了例から、通話が不要だった理由や採算を推測することもできません。各社の選択の違いは、自社で用途を確かめる必要があることを示しています。

会員料金と通話料を分けて読む

次の表は利用者が支払う会員料金です。後半で扱う、事業者が外部サービスに支払う費用とは別です。国内4社は、男性の通話条件を満たす通常の1か月プランを採り、長期契約の月割りや追加オプションを混ぜていません。*2

会員料金と通話料を分けて読む
アプリ・プラン男性の1か月Web購入男性の1か月アプリ内購入基本機能・通話の扱い税・価格の条件
Pairs・有料会員4,100円4,800円女性は基本無料。男性の通話は有料会員条件公式表示額。閲覧した料金案内で税込の明示は確認できず
with・有料プラン決済経路別の額は確認できず決済経路別の額は確認できず女性は基本無料。男性の通話は有料会員条件公式の1か月表示は4,260円〜、税込。経路は特定しない
タップル・シンプル4,400円〜4,900円〜女性はシンプルの機能無料。男性は同プランで通話可能税込。「〜」を含む表示額
Omiai・有料会員クレジットカード4,400円iOS・Android 4,900円女性は基本無料。別途通話料なし、通信料は利用者負担税込
Tinder有料プランの一律円額は確認できず有料プランの一律円額は確認できず無料でマッチング・DM。有料プランは任意。ビデオは終了終了した通話を有料会員特典に数えない
BumbleWeb版終了有料機能は任意、額は購入画面通話の案内あり。日本の追加通話料金は確認した資料に明示なしプラン・期間等で価格が変わる。一律円額を置かない

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*2 料金は2026/10/10に閲覧した公式案内に基づきます。キャンペーンや購入条件で変わるため、適用額は購入画面で確定します。女性の基本無料は全オプション無料を意味しません。本人確認などの利用条件は別にあります。

国内4社は通話を通常プランに含めていますが、通話があるほど売上が増えるとは、この比較から言えません。編集部は、自社で有料会員の特典に含める、利用回数を区切る、限定対象から始めるといった案を、利用者の希望と費用から検討することを提案します。

通話利用率だけでなく、1通話当たりの実費、問い合わせ・通報の対応時間、継続率の変化も見ます。通話を選ぶ人と選ばない人には元々の違いがあり、両者の継続率の差を、そのまま通話の効果と断定しないことも必要です。

外部サービスは何を比べるか

ここでは、人同士の通話を自社アプリに組み込む基盤を比べます。電話番号への発着信、AIとの会話、ライブ配信の視聴料金は対象外です。通話基盤を契約しても、マッチングアプリとしての開発と運用は残ります。 *3

外部サービスは何を比べるか
サービス提供範囲の見方公開料金の仕組みオーナーが確認する契約条件
Agora RTC音声・映像を自社の通話画面へ組み込む新規顧客は月額パッケージと利用量。HD映像は音声の4倍の「標準分」で計算新料金の適用、画質、超過料金、本番の商用利用条件。録画等は別料金
Daily Video自社画面への組込みに加え、用意された通話画面を埋め込むPrebuiltもある月10,000参加者分無料。その次の料金帯は音声のみ0.00099 USD、映像0.004 USD/参加者分無料枠の共有、映像へ切り替えた場合の料金。無料枠後に自動停止する金額上限はない
Twilio Video自社アプリ向けの通話基盤。現在も新規顧客を受け入れる0.004 USD/参加者分。最低利用額・月額購読なし恒常的な毎月無料枠は確認した価格表に記載なし。録画・保管等は別料金
SkyWay国内契約の音声・映像基盤。自社アプリへ組み込む法人の本番提供はEnterprise。月基本110,000円税込に接続・通信等を加算Freeは法人の開発・短期試運転等の範囲。本番契約、通信量、サポート対応時間を確認

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*3 2026/10/10の公式料金・製品案内を使用。Twilioの価格ページは2026/08時点と表示されています。Agoraの新料金は2025/08/29以降の新規顧客が対象で、既存・個別契約は別条件です。無料試用と本番の商用契約を同一視しません。

「用意された通話画面を使うか」「自社らしい画面を作るか」は、見積もりを取る前に決めたい点です。どちらでも、誰と通話できるか、拒否・通報、本人確認との連動、DMへ戻る流れは、自社商品に合わせる必要があります。

会社の規模や単価に加え、障害時の連絡方法、サポートの受付と実際の対応時間、データの保存場所・委託条件を比較します。例えばSkyWayはサポート受付が24時間でも、公開案内の対応時間は平日10〜17時です。基盤側のサポートを、自社利用者への常時対応と読み替えないようにします。

同じ通話数でも請求額は変わる

編集部の試算として、月1万回、毎回2人が同時に3分話す場合を置きます。通話の長さは月3万分ですが、利用者ごとの時間を足す課金では「1万回×3分×2人=6万参加者分」です。会員数だけでは費用を予測できません。

各行は別々の利用例です。録画・字幕は使わず、Dailyの無料枠はこの用途だけに使えるものとします。Agoraは指定した有料パッケージの例で、最安契約を選んだ見積書ではありません。*4

同じ通話数でも請求額は変わる
月の利用例通話基盤の計算USDの額と参考円換算この額に含まれないもの
Daily・音声のみ無料10,000分を除く50,000分×0.00099 USD49.50 USD/約7,838円税、録音等。通話中に映像・画面共有を一度でも送ると映像料金
Daily・ビデオ50,000分×0.004 USD200 USD/約31,667円税、録画等。音声と映像に無料枠が各々付く試算ではない
Twilio Video・ビデオ60,000分×0.004 USD240 USD/約38,000円税、録画・保管等。試用クレジットを毎月の無料枠として引かない
Agora・音声、Starter基本45.99 USD+超過10,000標準分×0.99 USD/1,000分55.89 USD/約8,849円税、録音等。有料枠50,000分に無料10,000分を重ねない
Agora・HDビデオ、Pro60,000参加者分×4=240,000標準分。基本133.99 USD+超過90,000標準分×0.99 USD/1,000分223.09 USD/約35,323円税、録画等。有料枠150,000標準分、HD設定で計算
SkyWay・1対1直接通信基本110,000円+20,000接続×11円/1,000回USD換算なし/110,220円+中継通信量等税込。基本・接続部分だけの計算で、総額ではない

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*4 公開料金は2026/10/10に確認。USDは、日本銀行の2026/10/09 17時のドル円158.33〜158.34から計算した中間値、1 USD=158.335円で参考換算し、円単位に四捨五入しました。実際の決済レート・為替手数料とは異なります。SkyWay以外の税、開発・保守・通報対応、自社サーバー費は含みません。

SkyWayの接続数は、2人が毎回1度ずつ接続し、再接続しない仮定です。中継通信は44円/GBなどの別料金があり、この例では通信量を測っていません。基本と接続の110,220円を、月の請求総額として予算に置くことはできません。

また、Twilio Videoの公開ページには、音声だけの安い別単価を確認できません。電話向けのTwilio Voice料金を代入しない扱いにしています。

費用管理では、無料枠と、予算を超える前に停止する仕組みを分けます。Dailyの従量課金には自動停止する金額上限がないため、自社の通話時間・回数制限と費用監視を検討します。Agoraの新料金でも、有料契約は枠を超えると追加課金です。無料分とは別に、月の予算と停止条件を決めます。

初期開発と運用の見積もりを分ける

予算を考えるためのノートと電卓を並べた机

通話単価が小さくても、導入の総予算が小さいとは限りません。公開料金から、どのマッチングアプリにも当てはまる開発費や納期は決められません。編集部は、見積もりを次の区分に分ける方法を提案します。

初期開発と運用の見積もりを分ける
費用の区分見積もりに入れる内容比較するときの問い
初回の開発通話の誘い・承諾・終了、カメラ・マイク許可、DMへの復帰、本人確認との連動、拒否・通報、時間制限、端末テストiOS・Android・Webのどこまで含むか。既存画面を使う範囲はどこか
毎月の人件費・保守品質監視、問い合わせ、通報調査、障害時の対応、端末・サービス更新への対応誰が何時間を担うか。委託先と自社の分担は明確か
基盤の固定費月額パッケージ、基本料金、必要なサポート契約利用が少ない月にも払う額はいくらか
利用に応じた費用参加者分、画質、接続回数、中継通信量平常月と利用が増えた月を同じ条件で試算したか
追加機能・終了時の費用録音・録画、保管、字幕、削除対応、提供終了・他社への移行最初から必要か。停止や移行まで見積もりに入るか

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開発会社には同じ要件を渡し、試験導入と本番提供を分けて見積もりを依頼します。作業別の人日×提示単価、外部サービス費、保守費を確認すれば、総額だけでは見えない差を比較できます。人日は担当者1人の1日分の作業量です。自社の人件費も、実際の社内単価と担当時間から計算します。

収益の検討では、通話基盤の請求額に加えて人の対応時間を数えます。有料特典として提供する場合も、利用率が上がるほど従量費が増えることがあります。「会員料金の範囲で、どこまで使ってもらうか」を、回数・時間・対象者の条件と一緒に決めます。

安全対応と録音の扱いを決める

利用者対応について同僚と相談するサポート担当者

編集部は、誘いを受けるかを選べること、すぐ終われること、拒否・ブロック・通報が通話中と通話後に分かることを、導入要件に入れるよう提案します。映像はカメラを出すタイミングや背景への注意も必要です。電話番号を交換せずに話せても、本人の安全まで保証されるわけではありません。

録音・録画は、目的から検討します。withは違法利用防止等のため、一部通話を録画・撮影する場合があると案内しています。これは一社の運用例であり、すべての事業者が常時録画すべきという意味ではありません。

録音・録画するなら、何のために、何を、誰が、いつまで扱うかを先に決めます。利用者への説明と必要な同意、保存場所、委託先、閲覧権限、保管期間、廃棄・削除の方法、削除を申し出る窓口を、契約と自社の運用に合わせて整理します。録画しない場合にも、通報の受付、通話した日時等の記録の扱い、事実確認の手順が要ります。

個人情報保護委員会の通則編は、個人情報の利用目的を具体的にすることや、個人データの取扱いを委託する場合の必要かつ適切な委託先監督を示しています。通話基盤に任せる範囲と、自社が判断・対応する範囲を確かめることにつながります。

録画検知などの対策があっても、別の端末からの撮影まで完全に防げるとは言えません。利用者への説明で過大な安心を与えず、迷惑行為の疑いがあるときに、誰が利用制限や通話機能の停止を判断するかを決めます。問い合わせ窓口、担当不在時の引き継ぎ、障害時の告知も、通話画面と一緒に準備します。

検討から小さく導入するまで

試験導入を相談するオーナーと担当者

以下は編集部が提案する進め方です。機能を作る判断と、対象を広げる判断を分けます。

  • 課題を確かめる。 利用者の希望と現在の問い合わせから、会う前の何を助けたいかを決めます。音声・映像それぞれの需要を見て、DM改善を先にする選択も残します。
  • 条件を揃えて比較する。 対象端末、開始条件、1回・1日の上限、録画の有無、サポート分担を1枚にまとめます。同じ通話数・時間・画質で基盤費と開発見積もりを比べます。
  • 自社アプリで試す。 許可画面、誘い・拒否、終話、再接続、DMへの復帰を確認します。異なる端末と通信環境で、使えるか、請求が想定と合うかを確かめます。
  • 対象を限定して提供する。 希望する利用者など、範囲を決めて始めます。通報・障害対応と、費用や品質に問題が出たときの停止手順を実際に動かせる状態にします。
  • 拡大・修正・停止を判断する。 利用率、通話の開始・完了、品質、1通話当たりの費用、問い合わせ・通報の負荷、継続率を合わせて見ます。課題に役立つかを確かめ、機能や条件を変えることも判断に含めます。

試験の前に「どの結果なら次へ進むか」を自社の予算と体制から決めておくと、利用回数だけで拡大する判断を避けられます。安全上の問題や予算超過で止める条件も、同じ時点で定めます。

開始前のチェックリスト

自社の準備を確認した項目にチェックを入れてください。件数は準備状況の整理であり、適法性・安全性の点数や、導入を自動的に決める採点ではありません。

準備の確認0 / 7 項目

確認した項目にチェックを入れて、準備を整理できます。

空欄の項目は、担当者や契約先と確認する論点です。編集部が勧めるのは、利用者の必要性に合う範囲を選び、費用と運用を確かめて提供することです。音声・ビデオを足す場合も、DMを充実させる場合も、自社が続けられる体制と利用者の価値を判断の軸に置きます。

出典・原典