有料利用者は両社で減少、売上は別の方向へ

Match Groupの決算発表では、Payersは前年同期比約5%減の月平均1,352.1万人だった。連結売上高は約8億6,393万ドルで約4%増。ただし、為替変動の影響を除いた売上高は前年同期比でほぼ横ばいだ。ドル建ての増収を、そのまま有料利用者の増加やアプリの改善効果と読むことはできない。

Bumble Inc.の決算発表では、Total Paying Usersは前年同期比21.1%減の月平均316.63万人、連結売上高は14.1%減の約2億1,238万ドルだった。両社とも有料利用者指標は減ったが、売上まで同じ方向に動いたわけではない。

もう一つの共通点は、会社が公表する月間の有料利用者あたり売上指標の上昇だ。Match GroupのRPPは前年同期比約10%増、BumbleのTotal ARPPUは8.9%増だった。有料利用者の減少と単価指標の上昇が同時に起きている。ただし、単価の上昇だけで、値上げの有無や個々の利用者の支出、満足度は分からない。

「課金した人数」をそのまま二社で比べられない

青い巻尺と黄土色の定規を別々に置いた概念イラスト。実際の統計グラフではない。

Match GroupのPayersの定義は、各ブランドで直接売上をもたらした利用者の月ごとの数を、四半期では月平均にしたもの。同じ人が複数ブランドを使えば、連結値で重複する可能性がある。RPPは利用者からの直接売上をPayersと月数で割る指標だ。

BumbleのTotal Paying Usersの定義は、Bumble AppとBadoo Appなどの有料利用者指標の合計だ。会社は主要運営指標から一部の事業や広告・提携に関する売上・利用者を除外し、BFFも2026/03/31時点では対象から外している。Total ARPPUも会社が定めた売上と有料利用者を基に計算する。したがって、PayersとTotal Paying Usersを同じ「会員総数」として比べたり、RPPとARPPUの金額差をアプリの価格差とみなしたりはできない。無料利用者を含む利用規模も、この二つの指標からは分からない。

打ち手は、推薦・本人確認と基盤刷新

性別を示さない人物カードを線で結び、拡大鏡を添えた概念イラスト。実在アプリの画面ではない。

数字の背景にあるアプリの変化を見ると、Match GroupはTinderで推薦の改善、新しい機能、安全対策への投資を進めていると説明した。同社内でも一様ではなく、Hingeの利用者からの直接売上は前年同期比28%増だった。Hingeの顔確認機能「Face Check」は主要市場で展開済みと発表した。これらの施策が連結売上や利用満足度をどの程度動かしたかは、決算数値だけでは確定しない。

一方、Bumbleは利用者基盤を見直したうえで、AIを使う新しい基盤上のBumble体験を2026年内に投入する予定と説明した。2026/05/31時点では、刷新版の提供やその成果を確認できない。現状の利用者減と将来の製品計画を、改善が実現した一つの結果として扱うべきではない。

編集部の整理では、両社が直面する共通の問いは「課金者が減る中で、使い続ける理由をどう作るか」だ。ただし、その答えをTinder・Hingeの個別機能とBumbleの刷新計画のどちらが先に出すかは、この四半期から判断できない。2026/05/31時点では、今後の発表で有料利用者の推移だけでなく、どの機能がどの地域で提供され、利用状況がどう変わるかを分けて確認する必要がある。今回の世界全体の決算は、日本の利用者数や日本での機能提供を示すものではない。

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